アルコール依存症は、実はお酒を飲む人であればかかる可能性がある病気です。その患者数は全国で80万人というように言われていますが、その中で治療を受けているのは数万人しかいません。
アルコール依存は、できるだけ早く治療を始めることが大切です。早期に治療を始めることで治療効果は高まります。
アルコール依存症は長い間大量にお酒を飲み続けることによって、お酒なしではいられなくなり、日常生活にも問題が出てきてしまう病気です。お酒が切れるとイライラや不安、手が震える、眠れなくなるなどの症状が出てしまいます。また、少量では酔えなくなってしまっているため、一度飲みだすと延々と飲み続けてしまいます。
アルコール依存症の治療の最終的なゴールは、根本的な原因であるお酒を辞める(断酒する)ことです。治療にあたってまず最初に行なうのは、アルコール依存症が病気であり、治療をする必要があるということを患者さん本人にしっかりと認識してもらうことです。
患者さん自身が治療に対して意欲的になった時点から、断酒を開始していきます。断酒を始めると、お酒が切れることによる症状(離脱症状)が出ますので、離脱症状に対する治療やサポートを行なっていきます。離脱症状が落ち着いた時点で、より確実にお酒を断つための精神療法なども行なっていきます。
アルコール依存症の治療を行なうにあたって、ご家族の方のサポートは非常に重要です。サポートする際にもっとも重要なのは飲酒が可能な環境を作らないことと、飲酒を助長するような行動を取らないことです。
具体的な例を挙げると、
▦ 飲酒が原因で本人が起こした問題の尻拭いをしない
▦ 飲み屋へのつけを家族が肩代わりしない
▦ 外で飲酒するとトラブルの問題になるので、自宅で飲酒をさせる
などがあります。
これらの行動を家族が取ることなく、断酒をさせるための毅然とした対応をとることが大切です。